細くて赤い血管がクモの巣のようにひろがって見える静脈瘤です。中高年の女性の方の太ももの外側や、膝の内側にできます。症状はほとんどありませんが、静脈瘤のでき始めや、長時間立っていると熱く感じたり、ピリピリと痛んだりする事があります。基本的には外見上の問題だけですが、クモの巣状静脈瘤の方は、同時に伏在型静脈瘤がある事もあるので、超音波検査で外から見えない太い静脈に異常があるかどうかを調べておいた方がよいです。
クモの巣状静脈瘤の最も一般的な治療は硬化療法です。きわめて細い針で静脈瘤に直接薬を注入します。薬の作用で1-6ヶ月で静脈瘤は消失し、症状が改善します。1回の治療にかかる時間は5-10分で、通常、数回の治療が必要です。
クモの巣状静脈瘤にはレーザー治療が行われる事もあります。このレーザー治療は伏在型静脈瘤に対する血管内レーザー治療と違って、体外からレーザーを静脈瘤に直接照射します。特に、赤いタイプのクモの巣状静脈瘤や硬化療法が行えない場合に有効です。しかし、保険が使えないので治療費はとても高額になります。
治療費は別にして、硬化療法とレーザー治療のどちらが有効な治療かは議論が分かれるところです。私たちは、レーザーは表皮に近い見える部分しか治療できないのに対し、硬化療法はネットワークである静脈全体を治療できることから、クモの巣状静脈瘤に対しては硬化療法を行っています。