下肢静脈瘤の重症化とは?
下肢静脈瘤が最も重症化した場合は皮膚に潰瘍が生じます。これは静脈性潰瘍と呼ばれ、静脈瘤によって足の皮膚が壊死して穴が空いてしまった状態です。潰瘍が生じると患部に常に痛みがあり、出血したり感染を起こしたりと日常生活にも支障が出ます。しかし、下肢静脈瘤の患者さんのうち、潰瘍ができるまで悪化するのは全体の1-2%以下と少数です。
静脈性潰瘍の治療方法
静脈性潰瘍の治療は長期入院が必要だったり、植皮手術を行ったりと、大掛かりなものと一般的に考えられていますが、適切な治療を行えばほとんどの場合、外来で治療を行うことができます。潰瘍の治療で一番重要なのは圧迫療法で、まず、シャワーで患部を朝晩、洗浄し、軟膏は塗らずに清潔なガーゼで覆う、その上から弾性ストッキングの着用または弾性包帯を巻いて圧迫する、この処置を毎日続けます。静脈性潰瘍の50%は、この圧迫療法だけで治療可能です。
静脈性潰瘍の再発防止を
静脈性潰瘍が治ったら、それ以降はもう安心というわけではありません。静脈の血流が滞る部分が同じ状態であれば潰瘍は高率に再発します。深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の後遺症などが原因となっている場合は治療は困難ですが、下肢静脈瘤が原因である場合は血管内レーザー焼均術などの手術で治療し、潰瘍の再発を防止することができます。