下肢静脈瘤の患者さんから「放置しておいたら自然に治りますか?」と質問されることがありますが、その答えは「NO」です。そもそも下肢静脈瘤が起こるのは、血液の逆流を防ぐ静脈弁が壊れたことが原因です。一旦、壊れた静脈弁が自然に治ることはありませんので、下肢静脈瘤も自然には治りません。通常、放置することで徐々に症状が悪化します
下肢静脈瘤の多くはセルフケアで改善
下肢静脈瘤のほとんどの患者さんは軽症から中等症のため、急いで治療する必要がない場合も多く、運動や足のマッサージなど、セルフケアを続けることで症状の改善が期待できます。それによって下肢静脈瘤自体が治るわけではありませんが、手術を行わず自分で対処できる病気なのです。
妊娠中の下肢静脈瘤は治ることもある
妊娠中に下肢静脈瘤を発症したケースでは、出産から半年後くらいで自然に治ったり、足にできた静脈瘤が目立たなくなったりしますが、これは女性ホルモンの分泌量が関係しています。妊娠中に女性ホルモンが増加し静脈が柔らかくなり、太くなると、静脈弁がうまく作動しなくなり下肢静脈瘤が起こります。その後、出産を終えて女性ホルモンの分泌量が正常に戻り静脈弁の働きが回復すれば、下肢静脈瘤が治ることもあります。とはいえ、治ったように見えても弁不全の状態が続いていれば、数年後に再び静脈瘤が目立つようになる可能性があります。