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必要ない治療をすすめる医療機関に注意

保険適用になった下肢静脈瘤の治療

日帰り治療が可能なレーザーや高周波による血管内治療は、保険適用になる前は高額な自由診療で行われていたので、患者さんにとって治療費は大きな負担になっていました。しかし現在は下肢静脈瘤のほとんどの治療が保険適用となり、低コストで治療が受けられるようになりました。そんな状況下で、患者さんに注意していただきたいのは、治療が必要ない患者さんにも血管内治療をすすめる医療機関が増えているという点です。われわれはこのような治療を不適切治療と呼んでいます。

治療が必要ない患者さんとは?

治療が必要ない患者さんとはどのような下肢静脈瘤でしょうか。下肢静脈瘤のなかでもクモの巣状静脈瘤や、下肢静脈瘤による不快な症状が出ていない患者さんは、基本的に手術は不要です。それにもかかわらず一部の医療機関では「健康保険が適用されるので下肢静脈瘤の手術を受けませんか」と勧めています。このように患者さんにとって不要な治療が横行していることに対して、日本静脈学会ではガイドラインをつくり、適応を遵守してもらえるよう努めています。

不適切治療が増加する理由

患者さんは足のむくみ、つりなどの症状で医療機関を受診しますが、その症状が下肢静脈瘤によるものとは限りません。しかし、不適切治療を行っている医療機関では、静脈が正常であっても治療を行ってしまいます。この場合、静脈は正常ですから、治療したとしても短い時間で終わりますし、合併症の心配もありません。さらに再発もしないので不適切な治療が行われたとしても、のちに患者さんとのトラブルになるケースは少ないため、問題が表面化しにくくなっているのです。


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